虎の巻17 「投資マネーの行き先」
今回はFXの基本問題です
Q戦争やテロなど国際的な経済不安があると安全な投資先を求めて投資マネーが国境を越えて動く場合があります。このように、安全資産が買われることを表すものとして適切な言葉は以下のどれでしょう。
答え
- B有事のドル買い
戦争など有事の際に、流動性があり世界の基軸通貨である米ドルが買われる現象を「有事のドル買い」といいます。有事の際には相場がどのように変動するかわからないため、いざという時に米ドルであれば安心であろうという経験則によって、投資マネーの避難先に米ドルが選ばれることがあります。
※相場は様々な要因で変動するので、常時見られる現象ではありません。
【虎の巻アドバイス】
通常の相場では、より有利な投資先が選ばれていますが、有事の際は現金に換えて保有したり、国際情勢に影響されにくい通貨、現物資産としての金、政治経済が安定している国の債券など、比較的安全性が高いものが選ばれます。しかし、投資マネーは強欲さと臆病さの両面をあわせ持っているため、従来の法則や経験則にのっとらないケースも多分にあり、「有事のドル買い」が不変とは限りません。そのため、有事の際は、投資マネーが国境を越えてどこの国の通貨あるいはどのような商品を逃避先にしているかを観察しましょう。逃避先の観察を通してFX市場の動向を把握することで、臨機応変な対応が可能でしょう。
次回、虎の巻更新をお楽しみに!
本記事は2017年5月1日に掲載されたもので、情報提供のみを目的としております。
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解説
通常、投資マネーは元本の増大と利息を求めて少しでも有利な投資先へ国境を越えて移動します。例えば、アメリカが金利を上げれば米ドルが買われ、原油価格が上がれば資源国通貨が買われます。
従来までは、戦争や世界的な経済不安(=有事)があると、リスクを避けて安全かつ流動性が高い米ドルが買われました。しかし、今では、アメリカ経済の弱体化や戦争・紛争への介入失敗が増えたことで米ドルへの信認も低下しています。その結果、最近では「有事のドル買い」が一概に安心ではないと考えられ、地政学リスクの規模やマーケット参加者の意向次第で別の通貨が対象となることもあります。過去には、中立国であるスイスのフランが安全通貨として買われる場合や某国のミサイル発射報道で金が買われて高値になる場合もありました。また、「有事の円買い」といわれ円が買われることもしばしばあります。