スペシャル・トレンドレポート

豪ドル円は再び85円台に向け上昇再開!(西原 宏一氏)

2021年9月29日

1)金融市場は8月15日から国際情勢で、乱高下!

今年の金融市場は8月15日からvolatilityが上昇しマーケットの動きが活発になってきている。

きっかけは8月15日のカブール陥落。

今年5月、米軍がアフガニスタンから撤退を開始したことに伴い、旧支配勢力だったタリバーンが徐々に支配地域を拡大。

そして8月15日、ついに首都カブールが陥落。

2001年9月11日に起きた米国同時多発テロをきっかけに、米国が当時アフガニスタンの政権を握っていたタリバーンを攻撃してから20年という月日が流れた。

米国はベトナム同様、今回も泥沼だった戦争から撤退することになる。

ベトナム戦争当時を振り返ってみれば、基軸通貨だったドルと金の交換を停止したニクソン・ショックという大事件が起きている。

今回のアフガニスタン・カブール陥落は、ベトナム・サイゴン陥落を彷彿とさせ、重大なgame changeとなる可能性があるため、8月16日のマーケットは大きく株安、クロス円安を演じる。

日経平均をチェックすると、カブール陥落報道の翌日から日経平均は下落を始めた。

8月16日27,806円で寄り付いた相場は、連日値を下げ、8月20日には一時26,954円という安値まで急落。

しかし、その翌週から日経平均は反発開始。

加えて、9月3日には菅首相が月末に行われる自民党総裁選に立候補しない考えを表明。これは今月末に総裁任期が満了するのに伴い、首相を退任することを意味する。

菅首相の事実上の退陣表明に呼応して日経平均は上げ足を速め、急騰。

9月14日には30,795円の高値に到達。

日経平均株価は3週間強で約3,500円もの暴騰劇を演じた。

ところがその後、中国大手デベロッパー恒大集団がデフォルトする公算が高まったということで相場は急速にrisk offに傾斜。

この報道を受けた9月20日(月)が日本は祝日で、マーケットの流動性が枯渇していたこともあり、日経平均株価は21日(火)には30,000円を割れ、22日(水)には一時29,573円まで急落。

しかし中国当局は、「恒大集団問題」を金融不安に発展するような事態は避けるだろうと見方が拡大し、9月24日(金)の東京市場での日経平均は再び30,000円台を回復。

このように8月15日から9月後半のマーケットは、歴史に残るような国際情勢の変化で、株式市場のvolatilityは急騰している。

ここでポイントとなるのは、日経平均が3,500円急騰するきっかけとなった8月20日という日。

2)リスクアセットは豪ドル円が鍵を握る!8月20日をきっかけに株高へ

前述のように、日経平均が安値をつけて切り替えした8月20日は豪ドル円も77.90円という安値に到達している。ユーロ円も8月19日と一日ずれるが、127.94円まで下落して、ここから反発。

ここで筆者が通貨ペアの中で豪ドル円をピックアップしたのには理由がある。

なぜなら、昨年からリスクアセットの行方を占う時は、他市場に先行して動意をみせるのが豪ドル円だからである。

例えば、昨年の3月19日。

この3月19日はオーストラリア準備銀行(RBA)が最後の利下げを決定し、豪ドル円が59.91円という安値に到達した重要な日であった。

豪ドル円はこの日の安値をきっかけに一気に反発を始め、大きな押し目もなく急騰。今年の5月につけた85.80円という高値までの暴騰劇のスタートとなった。

つまり昨年3月19日前後は、RBAの動きから豪ドル円を筆頭としたクロス円のみならず、株も安値をつけ反発のきっかけとなった日となっている。

例えば、日経平均は16,358円の安値(=3月19日)から大きく切り替えしていて、豪ドル円の動きが他のプロダクツの動意指標となっているわけだ。

こうした動意指標としての豪ドル円の動きから、今回の8月20日も豪ドル円が安値をつけた同日に日経平均も安値をつけ反発していることに注目している。

昨年は豪ドル円の急騰が凄まじく、それが日経平均を先導した展開となっていたが、今回は日経平均が3,500円も暴騰しており、それが豪ドル円を牽引しているともいえるが、ボトムをつけた日が今回も同じ8月20日前後であることが注目である。

添付図は、豪ドル円の日足。

8月20日に77.90円(77.888)の安値をつけ反発開始し、9月3日には一時82.03円まで上昇している。

その後の豪ドル円は、中国恒大集団のデフォルト懸念の報道で、一時79.00円割れまで反落する局面もあったが、結局は8月20日の安値を割り込むことなく、9月24日は80.40円と80円台を回復してクローズしている。ここでも8月20日の豪ドル円の安値が効いているわけだ。

ただ、日経平均と比較して、豪ドル円の伸びが緩慢であることは否めない。豪ドル円が日経平均の上昇に対して、未だ上昇が緩やかであることにはiron ore(=鉄鉱石)の反落が影響している。

これまで豪ドル円を牽引してきたiron oreは、200という大台をずっとサポートしてきたが、中国恒大集団の懸念が拡大する報道が流れ始めた時期に、200を割り込み一気に110レベルまで暴落し、価値を半分にまで失った。

ご承知の通り鉄鉱石はオーストラリアの主要輸出品であり、この鉄鉱石の暴落が豪ドル円の急騰を抑えているわけだ。

ただ、鉄鉱石の急落とオフセットして急騰しているコモディティがある。

それが天然ガス。

添付図は天然ガスの月足。

2020年の6月には1.43ドルまで急落していた天然ガスだが、今年の9月には一気に5.65ドルと約4倍に急騰。

天然ガス(LNG)は化石燃料だが、二酸化炭素の排出量が石炭に比べて40%と少ないため「クリーンエネルギー」として注目されている。

世界のLNG輸入量の7割はアジアが占めているが、日本は世界のLNG輸入量の約2割を占める世界最大の天然ガス(LNG)輸入国である。

(出所 2018年日本ガス協会https://www.gas.or.jp/tokucho/torihiki/)

そして天然ガス(LNG)は、主にオーストラリア、カタール、マレーシアが主要輸出国なので、日本も当然オーストラリアから輸入しており、このLNG価格が豪ドル円を底堅くする要因となっている。よって、LNG価格に加え、鉄鉱石価格が回復してくると、豪ドルには買い圧力がかかってくるわけである。

以上、ここまでは豪ドル円に注目してきたが、ここからは視点を変えて今回3,500円もの暴騰を演じた日経平均と相関性の高いプロダクツを考えてみよう。

ビフォーコロナの時代には、日経平均とドル円の相関性は極めて高いものがあった。ところが「withコロナ」の時代は、日経平均が3,500円上昇しても、ドル円は追随していない。

現在のドル円を動かすドライバーは、米10年債金利の動向だからである。

その注目の米10年債利回りは、9月24日に1.45%と底堅く推移しており、ドル円もようやく115円に向けて底堅く推移。これは豪ドル円にとってポジティブ要因である。(ドル円に関しては先月のコラムを参照)

次に添付したチャートは、日経平均先物と豪ドル円の日足の相関図。

8月20日に同時に反発し始めた日経平均と豪ドル円だが、今回は菅総理退陣の報道もあり、日経平均の上昇が急であるため豪ドル円の上昇が遅れているが、天然ガスが底堅い事、ドル金利(米10年債金利)が1.400%をブレイクしてじり高に推移していることもあり、タイムラグを伴って、豪ドル円も上昇してくるものと想定している。

直近のターゲットは、85円あたりか?

8月20日に、日経平均と歩調を合わせ、反発に転じた豪ドル円。

天然ガスの急騰や、日経平均の続伸を背景に、再び85円に向けて上昇を再開した豪ドル円の動向に注目。

西原 宏一氏プロフィール

西原 宏一(にしはら こういち)
株式会社CKキャピタル代表取締役・CEO
青山学院大学卒業後、1985年大手米系銀行のシティバンク東京支店入行。1996年まで同行為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラー等を歴任し、現在(株)CKキャピタルの代表取締役。ロンドン、シンガポールのファンドとの交流が深い。

本記事は2021年9月29日に掲載されたもので、情報提供のみを目的としております。
記事の内容は、西原宏一氏の個人的な見解かつ、掲載当日のものになるため、今後の見通しについての結果や情報の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。また、記事内のデータは、あくまでも過去の実績であり、将来の市場環境の変動などを保証するものではありません。
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